子供だった昭和30年代に夢中で観ていたテレビのヒーローが懐かしい

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子供だった昭和30年代に夢中で観ていたテレビのヒーローが懐かしい

子供の頃の懐かしの漫画の思い出にふけったら、テレビドラマもつられて思い出してしまった。

本当のことをいえば、漫画よりもテレビドラマの方に夢中になっていた。テレビドラマといっても、5歳から10歳ぐらいの間に観たヒーローものがほとんどだ。

テレビが家に来た頃

昭和34年(1959年)は、当時の皇太子殿下の結婚パレードがあった年で、パレードを見るために、まだ贅沢品であったテレビが普及するきっかけになった。我が家にテレビが来たのはその翌年だったから、あいにくパレードの中継を見ることはできなかった。

皇太子御結婚パレード(出典:YouTube「祝賀パレード #3 ★昭和 皇太子ご結婚★ 1959年4月10日 | Wedding celebration Parade of the Crown Prince Akihito 1959」KazFootage 過去の映像)

近所でもまだテレビのある家は多くはなかったから、力道山の活躍するプロレスやや、王や長島が出る巨人戦などを観に来る人もあった。

昭和35年(1960年)は安保闘争のデモが世の中を騒然とさせていた。5歳の私は、「アンポ、ハンタイ、アンポ、ハンタイ…」と叫びながら、スクラムを組んで蛇行して進んでいく群衆をテレビの前で見ていた。「アンポ、ハンタイ」の意味など知る由もなかった。

1960年安保闘争(出典:YouTube「09 – 60年安保闘争 – 1960」rosamour909)

その頃のコマーシャルで覚えているのがインスタントラーメンのCMソングだ。母親と幼い子どもの会話のような歌詞だった。

♬「雨が降ってる日曜日、坊や泥んこなぜ泣くの?」

「あそこの角で転んだの」

「どうしてそんなに急いだの?」

「明星即席ラーメン、パパと一緒に食べたいの」♬

「即席ラーメン」と「パパ」という言葉が私にはとても新鮮だった。65年経っても、歌詞とメロディが脳裏に焼き付いている。

時代劇のヒーロー

当時の日本映画は時代劇の全盛期でもあって、テレビでも時代劇ドラマが多く放送されていた。子供向けの時代劇ヒーローも次々に作られていた。

天馬天平

天馬天平(出典:YouTube「天馬天平とは?」山前五十洋)

舞台は幕末。ムチを武器に軽い身のこなしで敵をやっつけてくれる正義の少年剣士。剣道に励む少年剣士の赤胴鈴之助の設定によく似ていた。

矢車剣之介

矢車剣之助(出典:YouTube「矢車剣之助」中山千代)

矢車剣之介も強かった。天馬天平が剣を武器にしていたのに比べると、矢車剣之介はピストルを使ったりして派手な感じがした。

私はこの二人のヒーロー剣士を、ほとんど同じ主人公みたいに思って観ていた。前後続けて放映されたので同じシリーズのような感覚だった。

風小僧

風小僧(出典:YouTube「目黒ユウキ  山城新伍 」懐かし動画と世界の言語)

山中で剣の師匠に鍛えられて成長していく第一部は私の記憶にはなかった。成長して風に乗って空を飛べるようになって活躍する第2部の記憶だけがある。

第一部で少年(目黒ユウキ)を鍛える師匠役の山城新伍は、第二部では成長した風小僧本人に成り代わって演じている。

白馬童子

白馬童子(出典:YouTube「白馬童子」懐かし動画と世界の言語)

白馬童子も風小僧のすぐ後に放映されたので、天馬天平と矢車剣之介と同じように、風小僧と白馬童子が私には同じ主人公のように感じて観ていた記憶がある。

天馬天平と矢車剣之介は、演じていた役者は違っていたが、同じ17歳で顔つきもよく似ていた。風小僧と白馬童子はどちらも山城新伍が演じていたので、子供だった私には同じ世界の同じ主人公に思えたのだ。

隠密剣士

隠密剣士(出典:YouTube「隠密剣士 (日本語のみ)天津敏 as ”Gensai” the Black Ninja.」John Alexander Berry (“B2”).)

隠密剣士は、主人公の大瀬康一よりも、影のようになって隠密剣士を助ける伊賀忍者霧の遁兵衛(牧 冬吉)に惹かれた。

特に印象に残っているのは、敵の甲賀忍者と手裏剣を投げ合いながら戦うシーンだ。霧の遁兵衛の手裏剣の投げ方がとても素早くてかっこよく、甲賀忍者の負けじと繰り出す手裏剣も引けをとらない。双方の手裏剣が互角にぶつかって地に落ちる。お互いが本当に手強く感じられ、緊迫感が伝わってきた。

牧 冬吉は他の時代劇にも忍者役として数多く出演していたのを観て、いつも隠密剣士の霧の遁兵衛を思い出していた。忍者役では牧 冬吉が最強だったと思っている。

主演の大瀬康一は、私が観たドラマでは、変装ものの『月光仮面』や『豹(ジャガー)の眼』、現代ものの『バックナンバー333』のヒーローを演じていた。大瀬康一は当時のヒーローを演じる代表的な役者の一人だった。

忍者部隊月光

忍者部隊月光(出典:YouTube「忍者部隊月光  主題歌フルバージョン」99 birolin)

忍者部隊月光で一番かっこいいと感じていたのは、隊長の月光が仲間に合図を送る両手の仕草だった。声を出さずに両手でパット送るサインをよく真似したのを覚えている。

子供どうしで、「お前は月影、お前は三日月、おれ月光」なんて決めて、仲間にサインを送って遊んだりしていた。

仮面や変身・変装のヒーロー

スーパージャイアンツ

スーパージャイアンツ(出典:YouTube「スーパージャイアンツ1・2 アトムAB団編PV」新東宝【公式】チャンネル)

スーパージャイアンツは、アメリカドラマのスーパーマンによく似た設定だった。私は再放送でしか観れなかった。それも一つの回しか観ていない。それでもある場面はよく覚えている。

ヒーローのスーパージャイアンツではなく、他の登場人物のあるシーンがトラウマのように残っている。その登場人物がお化けのような風貌の悪者に終われ、家に逃げ帰ってベッドの中に潜り込むのだが、なんとベッドの中にその怪物が先回りして潜んでいたのだ。怖がりの私は本当に怖かった。思いだすとトイレにも行けなかった。

主演は若かりし頃の宇津井健。器械体操選手のような身のこなしに、あれは自ら演技していたのか気になった。結構いい体格をしていたので、千葉真一のようにどこかの大学の体操部だったりするのかどうか。

調べたら宇津井健は早稲田大学第一文学部で馬術部に所属していたそうなので、おそらくスタントマンがバク転などをしていたのだろうと思う。

月光仮面

月光仮面(出典:YouTube「月光仮面はだれでしょう」enka1enka)

月光仮面は、ほとんど同時代的に観ることができなかった。放映の最後の方か、あるいは再放送だったのか確かではないが、かすかに観た程度でテレビの前で手に汗握って夢中になることができなかった。

家からほど近くにある川にかかる橋で、月光仮面の撮影が行われていたという近所の人の噂話を思い出す。

まぼろし探偵

まぼろし探偵(出典:YouTube「まぼろし探偵 Blu-ray」ベストフィールド チャンネ)

まぼろし探偵も月光仮面同様に、放映の最後の方の回を垣間見た程度の記憶しかない。変装してオートバイに乗っている雄姿だと思い続けていたが、どうやら私の記憶違いだったようだ。

まぼろし探偵は、普段は少年新聞記者で同僚とオートバイに乗り、まぼろし探偵に変身すると、空も飛べる未来型自動車で事件現場に駆けつけていたようだ。

だから変装した後はオートバイにまたがることはなかったと思う。

それにしても、当時の動画を改めて見ると、まぼろし探偵役の少年が悪漢と戦う時、フラフラした弱々しさがどうも気になったが、それも含めて古き良き時代だったんだろうと思う。。

七色仮面

七色仮面(出典:YouTube「七色仮面 オリジナル バージョン」k1211t)

初めて七色仮面を見た時、頭の飾りは何なんだろう?と思った。鉄人28号にあった、ヨーロッパの中世の騎士の頭部の防具に付いていた飾りと同じようなものだったのだろうか?

七色仮面の奈良の大仏のようなお面は、祭りの夜店に必ずあった。風呂敷をマントに、オモチャの銀玉鉄砲を両手に構えて真似をしたものだ。

当時のヒーローはマントをなびかせているものが多かった気がする。これもスーパーマンの影響だったのか?

千葉真一が主人公を演じていたので、私が観たのは第5部からの『新七色仮面』だったのかと思う。

私の中では月光仮面よりも七色仮面の方が熱中度は高いのだが、今改めて見てみると、マントに2丁拳銃など、月光仮面の亜流であることは確かだ。原作者がどちらも河内康範だから仕方がないか。

テーマソングの中の一節「デンデントロリコ」を当時の私は「テンテンコロリト」と覚えていた。このテーマソングは何度聞いても胸が高鳴ってしまう。

少年ジェット

少年ジェット(出典:YouTube「Shonen JET」Samuel Addison)

少年ジェットは私の原点的ヒーローで、一番親近感を覚えて憧れた。シェーンという名の犬(シェパードだったと思う)を従えて、スーパーカブのようなスクーターに乗って悪人退治に向かう。

両足を開いて身構え、左手を腰に当て、右手を口に添え、「ウーヤーター!」と叫ぶと、大木も雷に打たれたように真っ二つに裂ける。

トニー谷似の憎きブラックデビル、多きな体の怪力男、丸出だめ夫のボロットのようなロボットなどと少年ジェットは戦った。

勇気が出るようなテーマソングは今でも歌える。

♬「勇気だ力だ、誰にも負けないこの意気だ。ヤー」

「白いマフラーは正義の印。その名はジェット、少年ジェット、進めジェット、少年ジェット。JET(ジェイ、イー、ティー)」♬

番組の最後のテーマソングの後にはお決まりのナレーションが入った。

「明るく元気で正しい心、少年ジェットこそまことの少年の姿である。いかなる困難・危険も超えて、少年ジェットは今日も行く」

主人公の少年ジェットの役者が代わったのはよく覚えている。「なんで代わるんだろう?」と思った。それぐらい主人公に親しんでいた。

少年ジェットのスクーターの後を、必死に走って付いて行くシェーンが可愛そうに感じたものだ。

少年ジェットを観てから、近所の駄菓子屋に行くのがお決まりだった。駄菓子屋では、10円ぐらいでグリコのおまけ付きキャラメルが買えたように思う。

ナショナルキッド

ナショナルキッド(出典:YouTube「National Kid Abertura」Meu QI Abaixo De Zero (Bul)

ナショナルキッドはとにかくカッコ良かった。スーパーマンのように、本当は宇宙人で人間の姿にも変身できた。

今見ると松下電器の宣伝のような雰囲気だが、当時はそんなこと全く気にならなかった。

空を飛ぶヒーローは他にもいたが、飛んでる姿勢はナショナルキッドが一番美しかった。

ナショナルキッドも演者が交代している。どうしてヒーローものは役者が途中で交代しがちなのだろう?怪我したりすることが多いのかもしれない。

観ている子供としては、主人公の役者が代わると違和感を敏感に感じるものだ。主人公と役者を子供は同一視しているから。

海底人8823(ハヤブサ)

海底人8823(ハヤブサ)(出典:YouTube「127◆海底人8823(ビクター児童合唱団)唄:青春太郎」青春の歌声)

当時は「なんで8823なんだろう?」って思っていた。「ハヤブサ」の語呂合わせだっていうことに気が付かず、「8823」と「ハヤブサ」を別々に認識してた。

「ハヤブサ」とか関係なくて、私は単に「8823」という数字自体に何故かカッコよさを感じていた。「8823って何だろう?」と、勝手に謎めいた疑問を抱いていた。だから「ハヤブサ」だと知ってがっかりした。

今回ウイキペディアで調べたら、

海底人8823は遠い昔に彗星ツイフォンの接近により海底に没したエルデ大陸からやってきたという。本名はエルデ10008823。ただし長い名前なので周りからは簡略してはやぶさと呼ばれる。

とあった。やはり、そういう秘密があったのか。

アラーの使者

アラーの使者(出典:YouTube「The Messenger of Allah (アラーの使者)」ZufälligeMano)

『新七色仮面』の放映が終わった後、続けて始まった『アラーの使者』も千葉真一が演じていたが、圧倒的に七色仮面の印象が強かったし、中東の方の国の使者っていうのが、何だか遠い国の感じがして、あまりピンとこなかった。

話の内容はよく覚えていないが、番組の最後の方でクレジットされる「カバヤ食品提供」というのは記憶にある。『月光仮面』もカバヤ食品の提供だったような気がする。

豹(ジャガー)の眼

豹(ジャガー)の眼(出典:YouTube「T豹(ジャガー)の眼オープニング」eykshuji)

この物語はわかりにくかった。そもそも”ジャガーノメ”ってなんだ?と。最初は”ジャガイモの芽”か?と思った。

ジンギスカンの隠した財宝を、主人公とジャガー率いる悪党集団、滅亡した王国の再興を目指す青龍党の三つ巴で争いながら探し求めるという大きな流れだが、海外の話の無国籍的な雰囲気から突然日本の時代劇風の展開になったりして付いていけなかった。

ただ主人公が悪人どもやっつけてくれることだけを楽しんでいた。主人公は月光仮面を演じた大瀬康一だったから、私は月光仮面とダブらせて観ていたんだと思う。

快傑ハリマオ

快傑ハリマオ(出典:YouTube「快傑ハリマオ オリジナル バージョン」k1211t)

ハリマオのテーマソングも現在も歌えるものの一つだ。三橋美智也の甲高い声は何故か物悲しい。あの勇ましくも、どこか悲壮な感じはどこからくるのだろう。今回、ハリマオについて少し調べてみた。

主人公のハリマオは、マレーシアで日本軍の諜報活動を担った元盗賊集団を率いた谷豊という実在した人物だった。

谷豊が盗賊になったのは、日本軍の起こした満州事変に怒った華僑の暴徒に末の妹を惨殺されたのが原因だった。この集団は主に華僑を襲っていて義賊的な性格を帯びていた。

日本軍に協力したのも、「イギリスの占領からマレーシアを開放したい」という思いに賛同したかたらだ。イギリス軍への妨害工作に奮闘する中、マラリアに感染して1941年に没し、靖国神社に祀られた。だから戦時中には戦意高揚のための英雄にされたりした。

肉親の非業の死を抱え、民族開放に命をかけた英雄という側面が、『怪傑ハリマオ』というテレビのヒーローにもどことなく漂っていたのだと思う。

テレビドラマでは設定は現実とは少し違っていて、主人公は海軍中尉大友道夫となっている。最終回で、たなびく旭日旗の下、正体を明かして愛しい人から去って行く姿が、実在の人物と重なって、気高く凛々しくも悲しい。

怪傑ハリマオ(出典:YouTube「快傑ハリマオ 南十字星のうた 近藤圭子」
石井洋七)

懐かしい動画を改めて観た感想

あんなに夢中になって観ていたドラマをだけを選んだつもりだったが、いざ内容について思い出そうとすると、一場面しか思い浮かばないことが多かった。

漫画のときもそうだったが、視覚的な記憶は薄くなって、感情的な記憶の方が強く残っていたことに気がついた。

でも、改めて現存する動画を観ると、浮かんでくる場面もあった。また、忘れていたと思っていたテーマソングの一部を聞いただで、すぐに胸の中に湧き上がってきた。身体のどこかに確かに残っていたのだ。

貴重な動画を保存しておられた方々に感謝申し上げたい。ありがとうございました。

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